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Y.I 先生 外科

  

 今回、私はGeneral surgery、Palliative care、Oncologyの3つの診療科をローテートしました。
 General surgeryでは、朝夕の病棟回診、手術、外来、カンファレンスに参加しました。病棟業務では朝夕の回診を含め、基本的にフェロー以下の若手でこなし、緊急性のある場合や判断に迷うときにのみ指導医に連絡をするという体制に驚きました。これは他の診療科でも感じたことですが、日本に比較するとかなり若い学年から責任ある仕事を任せられている印象でした。手術は膵頭十二指腸切除、S状結腸切除、腹会陰式直腸切断術(Miles手術)、両側胸筋温存乳房切除術など、2週間で約15例ほどの症例を見学することができました。特に自分の専門分野である乳腺外科の先生と出会い、日米の治療方針の違いについて議論できたのは大変有意義な時間だったと思います。また、外科の症例ではありませんでしたが、da Vinci Surgical Systemを実臨床で使用してるのを初めて見て、とても興味深かったです。
 Palliative careでは回診、カンファレンス、患者家族への説明、外来、抄読会、講義に参加しました。今まで、『緩和ケア』と聞くと癌治療における分野というイメージが強かったのですが、VA hospitalでは約半数の患者さんが心不全やCOPD末期といった癌以外の患者さんでした。診療ではSocial Workerの方達の仕事にも日本との違いを感じました。Palliative care含め各科数人のSocial Workerがいることも驚きでしたし、患者さんや家族の説明、診察など多くの責任ある仕事をこなしていました。
 Oncologyでは回診、カンファレンス、抄読会、外来に参加しました。どの診療科でも感じたことですが、特に教育体制が充実していたように思います。新患が来たら、まずフェローかレジデントが診察や情報把握をし、指導医に方針まで含めてプレゼンテーションし、そこから、他のレジデント、フェローが一緒に議論し、時には指導医からホワイトボードを用いて講義が始まることもありました。日本の臨床の現場ではここまで教育に時間を割けないのが実情ではないでしょうか。
 他には乳癌患者会に参加し、アメリカの医療について患者側からの話を伺ったり、UCLAの公開セミナーに参加することができました。
 この研修を通して、実臨床において治療方針などは日米の医療に大きな差はないように感じましたが、教育体制や診療のシステムはさまざまな点で違いを感じました。教育面では前述した毎日のカンファレンス等や、毎日院内で、lunch lectureが開催され、ほとんどのレジデント、インターンが参加し、自分の専門分野以外のことにも熱心に勉強していました。システムの面ではSocial Workerの人数が日本の病院より格段に多いことや、Case Managerと呼ばれる人達が検査のオーダーや手術日程調整など行うことでうまく分業できているように見えました。そうして生まれる時間的余裕を教育にあて、さらにレベルの高い医療を提供する、いい循環が生まれていると思いました。このように2か月間で見て感じたことをこれからの毎日に生かしていきたいと思います。
 最後にはなりましたが、私を快く送り出して頂いた九州医療センターの先生方、熱心に指導、サポートしてくださったVAの先生やスタッフのみなさんに感謝しています。ありがとうございました。

 

 

 

登録日: 2013年9月26日 / 更新日: 2013年10月3日

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