函館病院

函館病院臨床研究部は平成16年4月に開設され、
 

  • 再生医学研究室
  • 代用臓器研究室
  • 病因病態研究室
  • 生体情報研究室
  • 医療解析研究室


の5研究室があります。当院にとって全く新しい部門であり、院内全体の臨床研究をいかに活性化するか、いまだに試行錯誤の繰り返しですが、生き生きとした病院であるために日常臨床での疑問をデータ化し外へと情報発信することはとても重要なだと考え努力しています。
 

 そのためには、医師のみならずコメディカル部門の研究活動をできる限りバックアップすることも大きな仕事と考えています。


 まず、国立病院機構が行う臨床研究へ導入・登録をしやすい体制を整えることが役割の一つと考え、EBM研究への症例登録に努めました。これまでに総計300例を超えて登録し全国的にも多い施設に入ると思います。これは医師はもちろん、薬剤科、看護部などの協力があってこそのことで、臨床研究への院内の理解が深まっている証だと感じます。


 これまでは治験実施数も非常に少数でした。EBM研究でのチームワークを元に薬剤師3名、看護師1名を院内CRCに任じ治験管理室も機能し始めました。本年度は数件の開発治験を受託予定です。当院は空港から15分程度と近く中央からのアクセスも比較的良いので、さらに受託すべく活動したいと考えています。


 特色のある研究をご紹介します。当院のMRI装置は冠動脈などに適した、いわゆるWhole heart MRIが可能で、これを利用した心臓検査は既に1500例を越え日本でも最多と思われます。生体情報研究室、医療解析研究室を中心に、より短時間で確実に撮像する技術を開発し、冠疾患検出の研究など多くの学会で発表するとともに、臨床応用でも当院では非観血的な心臓検査の第一選択となるまでになっています。


 これらのCT・MRI画像を3次元構成まで含めて配信する画像サーバーの応用にも力を入れています。開発企業の技術者3名を客員研究員に任じ、システムの共同開発を行っています。院内では一般のパソコンをベースにログインに生体認証(指紋)を用いた安価で高速な情報システムを構築しました。さらに地域医療への貢献と当院の先進画像装置の活用を目指して、NTTのVPN(Virtual Private Network)を介して院外の医院にも当院と同様の画像配信をするシステムも開発しています。当院の放射線機器資産を各医院の放射線室のごとく利用できます。しかも端末は一般のパソコンのみで高価な画像処理装置なしに3次元構成も行えます。


 病因病態研究室では、MDCTを用いた3次元表示を含む精細な画像を利用して、乳癌のセンチネルリンパ節の描出と臨床応用を研究しています。また新しい腹腔鏡下胃食道逆流防止術式の開発を行い、積極的に海外発表も行っています。
再生医学研究室、代用臓器研究室では、重症の下肢閉塞性動脈硬化症の患者様に対し、末梢血幹細胞注入療法を研究し既に数症例に導入しています。


教育活動にも力を入れ、院内外に向け合同教育講座(月1回)を開催し、一次救命処置講習は全職員が終了して約100名の市民対象に市民公開講座も開催しました。アメリカ心臓協会(AHA)認定のBLSコースも定期的に開催予定です。
 本年度から病因病態研究室長に病理学分野でご活躍中の木村伯子先生をお迎えし、ますます広い分野に活動領域が広がってゆくものと期待しています。

 

 

函館病院臨床研究部のHPは>>>こちら

函館病院臨床研究部長 米澤一也