個   人  部  門  受  賞  
独立行政法人国立病院機構
三重病院長 庵原 俊昭(いはら としあき)

 

平成22年12月9日(木)、三重病院(三重県津市)庵原俊昭院長が人事院総裁賞を受賞いたしました。

 

(受賞理由):人事院公表資料より

  氏は、日本におけるワクチン研究の第一人者であり、昭和49年の採用以来、多年にわたり小児の診療に携わる傍ら、予防接種、ワクチンの臨床研究に取り組んでおり、特にインフルエンザワクチンの臨床研究においては日本の中心的役割を果たしている。昨年4月にメキシコに端を発した新型インフルエンザA(H1N1)は、国内でも夏場からの全国的な流行をみせ、国産ワクチンの開発が急がれたところ、氏がこのインフルエンザHAワクチンの免疫原性に関する臨床試験の治験調整医師として治験を主導し国産ワクチンの早期開発を実現し、公務の信頼の確保と向上に寄与している。

 

◎人事院総裁賞授賞式(12月9日 明治記念館)

 

1.水痘ワクチン接種基準に関する臨床研究に関する功績
 氏は、白血病児などの免疫不全児への水痘ワクチン接種基準を設定し、それまで
禁忌とされていた免疫不全児への生ワクチン接種の有用性と安全性を示した。この
考え方は、現在ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染小児への生ワクチン接種基準の
設定へと発展している。

 
2.MR(麻疹及び風疹)ワクチン2期接種導入に関する功績
 平成17年に氏が行った「MRワクチン2期接種の免疫原性および安全性の研究」
の研究成果を受け、麻疹および風疹の排除に向け、平成18年4月から本邦でのM
Rワクチン2期接種が開始され、以後、麻疹及び風疹排除計画が進められている。

◎診察風景


3.プレパンデミック(流行前)ワクチンの臨床研究に関する功績
 平成20年には、季節性インフルエンザウイルスとは違い、高い確率で生命の危
険が危惧され、被害を最小限に食い止めるため新型ウイルスへの変異が最も懸念さ
れた鳥インフルエンザウイルス(H5N1)をもとに作った「プレパンデミックワ
クチン」の事前接種の検討を行った。このプレパンデミックワクチンの臨床研究に
おいて、政府の新型インフルエンザ専門家会議の委員である氏が班長として中心的
な役割を果たし、流行前の事前接種を実施することの政府の行政的判断の根拠を与
えた。


4.新型インフルエンザA(H1N1)ワクチンの臨床研究に関する功績

 昨年4月にメキシコに端を発した新型インフルエンザA(H1N1)が国内でも
夏場から全国的な流行をみせ、この新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスに
対する国産ワクチンの開発が急がれたところ、氏の前述プレパンデミックワクチン
臨床研究の実績が評価され、9月から氏は、厚生労働省の新型インフルエンザA(H
1N1)ウイルスに対するインフルエンザHAワクチンの免疫原性に関する臨床試
験の治験調整医師に選ばれた。この治験において、氏は国立病院機構のネットワー
クを活用し、その医療従事者の協力を得てワクチンの有効性・安全性の検証を迅速
に行い、予防接種について当初考えられていた2回の接種ではなく1回の接種でも
十分な免疫が得られることを科学的に根拠づけた。当初、ワクチン接種が最初の流
行には間に合わないと危惧されたが、当該治験の成果により約2倍のワクチン供給
が可能となり、多くの国民への早期予防接種が実現し、流行の拡大防止に繋がった。

◎臨床研究部での研究風景

  

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