平成23年東日本大震災における国立病院機構の支援活動について【第46報(平成24年3月12日10:00現在)】
平成23年3月11日、宮城県三陸沖で発生した東日本大震災に関して、国立病院機構は地震発生当日より被災地へ医師、看護師等を派遣し、災害急性期の医療活動を展開するとともに、継続的な医療支援のために、3月14日より医療班を継続的に派遣し、被災地における診療等を行っています。
また、本部、ブロック事務所、全国の病院の国立病院機構のネットワークを活かし、医師、看護師等の派遣による人的支援や物資の支援など総力を挙げて患者に対する医療サービスの確保に対応しています。
※下線部分が前回からの変更点
1.DMAT、医療班等の派遣
これまでに震災に関連した医療支援活動のために122病院から1,694名(延べ約9,900人日)を派遣しました。※
区分 |
派遣実績 |
派遣した機構病院 |
派遣先 |
DMAT |
35班 約160名 |
21病院 |
岩手県、宮城県、福島県、茨城県等 |
医療班 (放射線スクリーニング班を含む) |
151班 約700名 |
77病院 |
岩手県、宮城県、福島県 |
心のケアチーム |
103班 約380名 |
10病院 |
岩手県、宮城県、福島県 |
その他 (医師、看護師等の派遣) |
約460名 |
77病院 本部・ブロック事務所 |
岩手県、宮城県、福島県、茨城県等 |
総 数 |
約1,700名 |
122病院 本部・ブロック事務所 |
(1)DMATの派遣
厚生労働省DMAT事務局を担う災害医療センターにて、地震発生当日より、全国340のDMAT(災害時の救命救急を目的とする専門医療チーム)を指揮し、急性期トリアージ、広域搬送等を実施。国立病院機構からも21病院から延べ35チームを岩手県、宮城県、福島県等に派遣、約160名の医師、看護師等が活動し、災害急性期(おおむね48時間)対応の任務を終了。
(2)医療班の派遣
DMATによる災害急性期の対応が終了した後も引き続き切れ目のない被災地への医療支援を行うため、被災地に向かう移動ルート、燃料の確保が困難な状況の中、避難所において医療支援等を行う医療班を3月14日より全国から岩手県、宮城県、福島県に延べ151チーム(696名)を順次派遣、避難所等において巡回、診療等を実施。
福島県では、郡山市内等の避難所を中心に被ばくスクリーニング活動も実施。
(3)心のケアチームの派遣
被災者の家族や自宅を失ったショックやストレスに対し精神的ケアを行うため、心のケアチームを岩手県、宮城県、福島県に103チーム(10病院)派遣。
(4)その他、医師・看護師等の派遣
DMAT、医療班の他、地方自治体、大学、関係団体からの依頼に基づき、23病院から医師、看護師等57名を派遣。
※派遣数は、被災した機構病院への支援のため派遣した医師、看護師等を含みます。(詳細は「5.被災した機構病院への支援」をご参照ください。)
2.被災患者の受入
31病院で被災した患者11,835名【累計】(外来11,096名、入院739名)の診療を実施。
3.被災した民間病院からの患者受入
14病院で被災した民間病院から患者125名を受入。
※東北地方の病院においても相当数の患者を受入(未集計)。
4.人工呼吸器を利用する在宅医療患者の緊急一時入院の受入、緊急相談窓口等の設置
(1)人工呼吸器を利用する在宅医療患者の緊急一時入院の受入、緊急相談窓口
計画停電の予定地域にある19の機構病院において、人工呼吸器を使用する在宅患者の療養を担当している在宅療養支援診療所等の主治医等からの緊急相談を受ける窓口を3月15日より設置、活動。緊急一時入院の受入も実施。(相談件数71件、入院受入患者7名、外来患者2名)
(2)てんかんホットライン
静岡てんかん・神経医療センターでは、被災地域におけるてんかん診療を支援するために「てんかんホットライン」を開設し、てんかん患者・医療関係者からの相談に対応(相談件数約30件)。
5. 被災した機構病院の支援
被災した機構病院の診療機能を維持するため、本部及びブロック事務所が機構病院と調整し、必要な診療体制を確保。
(1)医師、看護師等の派遣
①DMAT、医療班による災害医療活動。
②医師、看護師等の派遣による診療支援
(2)患者搬送
◎いわき病院の入院患者114名(一般患者38名、重症心身障害児(者)76名)を他の国立病院機構病院及び市内の病院に搬送。
◎宮城病院の人工呼吸器を装着したALS患者(4名)を新潟病院に搬送。
(3)食糧等の支援
震災によるライフラインの停止により、入院患者等に提供する飲料水、食糧の確保が困難となった機構病院に対し、他の機構病院から食糧等を支援。
(4)ブロック事務所による支援
ブロック事務所は、管内の機構病院の被災状況の把握、通信手段の確保、不足物資の把握・調達・搬送、被災病院への職員の派遣の調整等を行っている。
<<詳細情報>>
(1)DMATの派遣
地震発生当日より、21病院から35チームのDMATを派遣し、約170名の医師、看護師等が活動。 (実績は延べ活動数) |
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◆岩手県へのDMAT支援状況
場所 |
チーム数 |
DMAT名 |
いわて花巻空港 |
5班 |
・北海道医療センター ・京都医療センター ・大阪医療センター ・姫路医療センター ・関門医療センター |
県立宮古病院 | 1班 | ・長野病院 |
岩手医大 |
調査ヘリ1機 1班 |
・災害医療センター調査ヘリ① ・高知病院① |
大船渡病院 | 1班 | ・沼田病院① |
陸前高田市仮設診療所 | 1班 | ・高知病院① |
◆宮城県へのDMAT支援状況
場所 チーム数 DMAT名 ・仙台医療センター ・金沢医療センター① ・九州医療センター① ・熊本医療センター 2班 ・金沢医療センター② 1班 調査ヘリ1機 ・災害医療センター② ・災害医療センター調査ヘリ② ・東京医療センター (東京都のDMATに派遣)
霞目自衛隊駐屯地
4班
仙台医療センター
仙台市立病院
1班
・名古屋医療センター②
宮城県庁
気仙沼市
1班
◆福島県他へのDMAT支援状況
場所 チーム数 DMAT名 ・善通寺病院 ・香川小児病院 1班 ・災害医療センター② ・災害医療センター④ ・災害医療センター⑤ ・災害医療センター③ ・静岡医療センター② 3班 ・高崎総合医療センター① ・静岡医療センター① ・名古屋医療センター① ・沼田病院② ・高崎総合医療センター② ・九州医療センター② ・長崎医療センター
福島空港
2班
いわき病院
二本松男女共生センター
1班
・呉医療センター②
磐城共立病院
2班
飯舘村公民館
2班
サテライトかしま
筑波メディカル
産業技術センター(群馬県)
1班
羽田空港
1班
・東京医療センター
航空自衛隊春日基地
2班
大阪空港
1班
・呉医療センター②
D M A T と は
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成された、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。 (日本DMATホームページより) |
(2)医療班の派遣状況
【活動状況】
(岩手県)◎3月16日~4月22日の活動状況
(宮城県)◎3月15日~5月9日の活動状況
(福島県)◎3月16日~26日の活動状況
[仙台医療センターの様子] |
[被ばくスクリーニング] |
場所 |
延べ チーム数 |
派遣病院 ※複数病院の合同チームも施設ごとに掲載しております |
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岩手県内 |
44班 |
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宮城県内 |
53班 |
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福島県内 |
54班 |
医療班 ・北海道医療センター |
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福島県郡山市、いわき市等において被ばくスクリーニング活動を実施
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福島第一原発事故に伴う住民の一時帰宅における医療班
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(3)心のケアチームの派遣
・琉球病院(15班)※一部菊池と合同 ・菊池病院(13班)※一部琉球と合同 ・やまと精神医療センター(1班) ・鳥取医療センター(4班) |
・久里浜アルコール症センター(51班) ・肥前精神医療センター(12班) ・花巻病院(2班) |
・肥前精神医療センター(3班) ・東尾張病院(10班) |
・小諸高原病院(3班) |
・下総精神医療センター(1班) |
(4)その他、医師・看護師等の派遣
①原子力発電所の事故に伴い福島県双葉町の方が一時的に避難された「さいたまスーパーアリーナ」に開設された救護ステーションに西埼玉中央病院から看護師7名を派遣。
②福島県知事から厚生労働大臣に看護師派遣の要請書が提出されたことを受け、国立病院機構への正式な看護師派遣依頼によって以下の病院が看護師20名を派遣。
・いわき病院(5名) ・東佐賀病院(4名) ・大分医療センター(1名) ・別府医療センター(2名) ・都城病院(3名) |
・相模原病院(1名) ・西埼玉中央病院(1名) ・千葉東病院(1名) ・村山医療センター(1名) ・横浜医療センター(1名) |
・北海道医療センター(医師、看護師:2名) ・岩手病院(医師:1名) ・沼田病院(MSW、理学療法士:2名) ・埼玉病院(医師:1名) ・災害医療センター(医師:3名) ・横浜医療センター(事務:1名) ・箱根病院(医師:1名) |
・新潟病院(臨床検査技師:6名) ・さいがた病院(臨床検査技師、精神保健福祉士、看護師、心理療法士:5名) ・金沢医療センター(MSW:1名) ・大阪医療センター(医師、放射線技師:1名) ・賀茂精神医療センター(心理療法士:2名) ・九州医療センター(看護師:1名) ・宮崎東病院(医師:1名) |
弘前病院(外来600名、入院178名) いわき病院(外来580名) 沼田病院(外来5名) 西埼玉中央病院(外来6名) 埼玉病院(外来14名) 千葉医療センター(外来12名) 千葉東病院(外来1名) 東京医療センター(外来25名) 新潟病院(外来94名、入院3名)
青森病院(外来1名)
盛岡病院(外来24名、入院17名)
花巻病院(外来13名、入院2名)
岩手病院(外来1,318名、入院11名)
釜石病院(外来285名、入院17名)
仙台医療センター(外来753名、入院228名)
西多賀病院(外来7名、入院53名)
宮城病院(外来4,213名、入院119名)
あきた病院(外来3名、入院7名)
山形病院(外来1名、入院13名)
米沢病院(入院13名)
福島病院(外来3,115名、入院74名)
栃木病院(外来1名)
宇都宮病院(外来1名)
西群馬病院(外来2名)
横浜医療センター(外来2名)
久里浜アルコール症センター(外来2名)
相模原病院(外来1名)
神奈川病院(外来6名、入院2名)
西新潟中央病院(入院2名)
まつもと医療センター(外来9名)
長野病院(外来2名)
3. 被災した民間病院からの患者受入状況
水戸医療センター(51名) 霞ヶ浦医療センター(23名) 栃木病院(13名) 西群馬病院(2名) 西埼玉中央病院(1名) 千葉医療センター(3名) 東京医療センター(1名) 災害医療センター(3名)
宇都宮病院(16名)
高崎総合医療センター(1名)
沼田病院(3名)
下志津病院(1名)
西新潟中央病院(3名)
さいがた病院(4名)
4. 人工呼吸器を使用する在宅医療患者の緊急一時入院の受け入れ・緊急相談窓口等の設置
○東北電力の管轄区域にある病院
弘前病院 ℡:0172-32-4311
新潟病院 ℡:0257-22-2126
あきた病院 ℡:0184-73-2002
さいがた病院 ℡ 025-534-3131
西新潟中央病院 ℡:025-265-3171
○東京電力の管轄区域にある病院 相模原病院 ℡:042-742-8311
霞ヶ浦医療センター ℡:029-822-5050
下志津病院 ℡:043-422-2511
茨城東病院 ℡:029-282-1151
東京医療センター FAX:03-3411-2596
高崎総合医療センター ℡:027-322-5901
災害医療センター ℡:042-526-5610
沼田病院 ℡:0278-22-0182
東京病院 ℡:0424-91-2111
埼玉病院 ℡:048-462-1101
横浜医療センター ℡:045-851-2621
千葉医療センター ℡:043-251-5311
神奈川病院 ℡:0463-81-1771
千葉東病院 ℡:043-261-5171
静岡てんかん・神経医療センターでは、被災地域におけるてんかん診療を支援するために「てんかんホットライン」を開設し、
てんかん患者・医療関係者からの相談に対応。
静岡てんかん・神経医療センター
TEL:054-245-5446(代)
FAX:054-247-9781
てんかんホットラインのお知らせ
(1)医師、看護師等の派遣
①医療班、DMATの派遣
[上記1.を参照]
②医師・看護師派遣による診療支援
◎宇都宮病院に対し、看護師等を派遣した病院
・栃木病院 ・千葉東病院 |
・東京医療センター ・さいがた病院 |
・新潟病院 |
◎水戸医療センターに対し、医師、看護師、診療放射線技師を派遣した病院
・高崎総合医療センター ・金沢医療センター ・埼玉病院 ・医王病院 ・東埼玉病院 ・千葉医療センター ・石川病院 ・長良医療センター |
・下総精神医療センター ・東京病院 ・静岡医療センター ・村山医療センター ・名古屋医療センター ・東尾張病院 ・富山病院 ・三重中央医療センター |
・北陸病院 ・東京医療センター ・七尾病院 ・静岡てんかん・神経医療センター ・東名古屋病院 ・松本病院 |
◎仙台医療センターに対し看護師を派遣をした病院
・宇多野病院 ・大阪南医療センター ・大阪医療センター |
・神戸医療センター ・近畿中央胸部疾患センター |
・姫路医療センター ・京都医療センター |
◎宮城病院に対し看護師を派遣した病院
・北海道がんセンター ・北海道医療センター ・函館病院 ・旭川医療センター ・帯広病院 ・弘前病院 ・青森病院 ・仙台医療センター ・あきた病院 ・いわき病院 |
・福井病院 ・あわら病院 ・南京都病院 ・刀根山病院 ・兵庫中央病院 ・奈良医療センター ・やまと精神医療センター ・和歌山病院 ・米子医療センター ・松江医療センター |
・浜田医療センター ・南岡山医療センター ・山口宇部医療センター ・柳井病院 ・東徳島医療センター ・徳島病院 ・高松医療センター ・福岡病院 ・宮崎病院 ・南九州病院 |
◎霞ヶ浦医療センターに対し医師を派遣した病院
・西埼玉中央病院 ・千葉医療センター |
・千葉東病院 | ・箱根病院 |
(2)患者搬送
◎震災によりライフラインの確保が困難となったため、いわき病院の入院患者114名(一般患者38名、重症心身障害児(者)76名)を他の国立病院機構病院及び市内の病院に搬送。(16日(水)) |
[いわき病院:震直後、患者を安全な場所へ避難] |
◎いわき病院から患者(一般患者38名、重症心身障害児(者)76名)の搬送を受け入れた機構病院
・水戸医療センター ・西群馬病院 ・米沢病院 |
・東埼玉病院 ・霞ヶ浦医療センター ・千葉東病院 |
・茨城東病院 ・下志津病院 |
◎宮城病院の人工呼吸器を装着したALS患者(4名)を新潟病院に搬送。
(3)食糧等の支援
食糧等の支援を受けた病院 |
食糧等を支援した病院 |
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仙台医療センター、盛岡病院 |
・呉医療センター ・神戸医療センター |
・大阪南医療センター ・京都医療センター |
仙台医療センター |
・大阪医療センター ・南和歌山医療センター |
・宇多野病院
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釜石病院 |
・花巻病院 |
・盛岡病院 |
宮城病院 |
・山形病院 ・仙台医療センター |
・西多賀病院 |
岩手病院、花巻病院、福島病院 |
・仙台医療センター |
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八戸病院、西多賀病院、山形病院、 米沢病院、仙台医療センター、 盛岡病院、釜石病院、宮城病院、 岩手病院、花巻病院、福島病院 |
・北海道がんセンター |
・旭川医療センター ・帯広病院 ・八雲病院 |
茨城東病院 |
・霞ヶ浦医療センター ・東京医療センター ・災害医療センター ・東京病院 ・下志津病院 ・西埼玉中央病院 ・千葉医療センター |
・千葉東病院 ・下総精神医療センター ・村山医療センター
|
宇都宮病院 |
・栃木病院 |
・千葉東病院
|
山形病院 | ・米沢病院 |
(4)ブロック事務所による支援
ブロック事務所は、管内の機構病院の被災状況の把握、通信手段の確保、不足物資の把握・調達・搬送、被災病院への職員の派遣の調整等を行っている。
[被災状況の把握] [物資の運搬作業]
◎北海道東北ブロック事務所による支援について
登録日: 2012年3月12日 / 更新日: 2012年3月16日